うつ病の正しい理解
最近はうつ病に対する認識も広まっており、また心療内科やメンタルクリニックの敷居が低くなっていることもあり、以前なら来院しなかった軽症の人の受診が増えてきています。
ただ、純粋なうつ病の人はそれほどおらず、他の疾患であることが多いのも事実です。
うつ病との鑑別が必要な疾患としては、「適応障害」「躁うつ病(双極性障害)」「月経前症候群」「急性ストレス障害」などがありますし、身体疾患の除外が必要なこともあります。
確かにうつ病は「治る」病気ですが、「再発する可能性も高い」病気です。
「こころの風邪」という人もいますが、そんなに軽いものではなく、「こころの肺炎」くらいに考えたほうがいいでしょう。
その方が周りの理解も得られやすいと思います。
うつ病の症状でもっとも初期に患者さんが自覚する症状は、「億劫感」とされています。意欲がわかない、気分が優れず何をするにも興味が涌かないなどの症状が出てくればうつ病の可能性を考えなければなりません。
他に特徴的な症状として、気分が一日の中で変動するということです。朝の気分が悪く、夕方になると普通の状態ほどに回復する場合もありますが、そうすると他人からみると「怠け」ではないか、「もう少し頑張ってみてはどうか」などの言葉が出てくることもあります。
ストレス要因が明らかなことも多いですから、休養などを取ることでそのストレスから遠ざける工夫も必要です。
症状は一進一退を繰り返しながら回復しますから、周囲の人もそれに一喜一憂しないことです。
また、うつ病には不眠や食欲低下、頭痛、便秘などさまざまな身体症状が出てきます。
最近は副作用の比較的少ないSSRIやSNRI、NaSSAなどの抗うつ薬がありますので十分な量を十分の期間服用することが大事になってきます。
もちろん副作用もありますので、それを確認しながら十分量まで増やしていくというのが基本的な治療となります。
自分でもうつではないかと思われたら躊躇されずに専門医を受診して下さい。
心の病も早期発見、早期治療が大事なのです。