抗うつ薬のお話
うつ病の治療として抗うつ薬を使用するのは皆さんご存知だとは思いますが、今日は抗うつ薬の注意点を述べたいと思います。
①抗うつ薬はすぐには効かない
お薬にはどうしても即効性を期待してしまいます。
しかし抗うつ薬の場合は、効果が出始めるまでに2~4週間かかります。
しかも増量しないと効果があらわれにくい場合もあります。
もしそれまでに治ったのであれば、それはお薬以外の要因が考えられます。
「休職などの環境調整が上手くいった」、「そもそもうつ病ではなかった」かもしれません。
②ゆっくり増やしていく
どんな薬にも副作用が起こりえますが、抗うつ薬も例外ではありません。
主な副作用としては、吐き気や下痢などの胃腸症状、口渇や便秘、尿閉などの抗コリン作用などがあります。
そのため、副作用に注意しながら少ない量から徐々に増やしていく必要があります。
③そもそも何故効くのかよくわかっていない
うつ病の人の脳では、セロトニンやノルアドレナリンという神経伝達物質が減少しているといわれています。
抗うつ薬とは、これらの神経伝達物質を増やすことでうつ病を良くするのですが、これだけでは不十分なことがあります。
服用した全員が良くなるわけではありませんし、前述したように即効性があるわけでもないのです。
いろいろな仮説はありますが、全てを説明できる理由はまだないのです。
以上のように、うつ病の治療において抗うつ薬は絶対的なものではありません。
しかし、十分な量を一定期間服用することでうつ病の改善は期待できます。
実際には、不十分な量を短期間しか服用していないケースが目立ちますので、用法用量をしっかり守り、何か変だな、副作用かなと感じたときは主治医に相談しましょう。